2009年02月20日

歌手紹介(2):エカテリーナ・シチェルバチェンコ(ソプラノ)[ボリショイ・オペラ]

Shcherbachenko2.jpg清楚な、それでいて凛としたたたずまいでホテルのロビーに現れたシチェルバチェンコ。カードキーだけを持ちすっと立つ姿は、そこだけが光がさしていて、やはりボリショイ劇場でタチアーナを歌う人は違う・・・そう思いながら声をかけると、すぐにぱっとあたたかな笑顔!

愛する人とのすれ違いに苦しみながらも、真実の愛を見つけ貞節を守り続ける、ロシア人が今なお「永遠の女性の理想像」に挙げるタチアーナという役どころについて話していただいていると、だんだんシチェルバチェンコその人とタチアーナが同じ人のように思えてしまう・・・そんな素敵な魅力に溢れたソプラノ歌手でした。


さっそくタチアーナについて聞いてみると
「タチアーナは、誰からも理解されず、理解されようとも思っていません。むしろ、これから起きるであろうことへの期待の中で生きている、とても純粋で、ナイーブな女性です。そこで出会ったオネーギンに運命を感じるのですが、ふられ、数年かけて真の大人の女性へと成長します。」

ここまでは多くのソプラノ歌手が話してきたことですが、その後の言葉に、彼女のタチアーナへの深い洞察を知ることができます。

「成長していく中でタチアーナはオネーギンという人の内面、彼は運命の人でも、救世主でもなかったと気がつきます。人間の本質を見抜く、と同時にうわべだけの社交界でもいきていく術も身につけていきます。そんな中でも、彼女は自分が生まれながらに持っていた純真な心は失っていないのです。そしてその内に秘めた純粋で素朴な部分をオネーギンは再会した時に感じるのです。」
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そしてこの演出の最も独特なところは、タチアーナの伴侶であるグレーミン侯爵の描き方だそう。
「今までの演出は、グレーミン公は主役から一歩引いた役どころでしたが、今回のチェルニャコフの演出では、タチアーナとグレーミンが正に人生の伴侶であるということ、そして本当の強い絆で結ばれた夫婦である、と感じることができます。タチヤーナは、彼の前では、けして自分の感情を隠すことはできない。彼女はオネーギンに抱いたものとは違う、真実の愛をその中に見出しているのではないかと思うのです。」
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「エフゲニー・オネーギン」と聞くと、私たちの世界からはほど遠いストーリー、というイメージを抱きがちですが、実は人間の心の機微、愛の真実についてのストーリー。世界中で、どんな世の中になろうと私たちに何かを与えてくれる「作品」の力、そしてそれを圧倒的な素晴らしさで見せてくれるボリショイ劇場に、期待が高まります。

このインタビューは、昨年秋、テミルカーノフ率いるンクトペテルブルグ・フィルのソリストとして来日した際に行ったもの。ステージで聞いたシチェルバチェンコの透明な歌声に「ボリショイ・オペラ」での再来日に大きく期待を寄せたファンも多いと聞いています。
知的で、あたたかく、清楚なシチェルバチェンコが、舞台でどんなタチアーナを魅せてくれるのか。。。着実に一歩一歩ボリショイ劇場のプリマの道を歩んでいる彼女のオペラ・デビューをぜひお聴きください

posted by Japan Arts at 16:05 | ボリショイ・オペラ2009>キャスト紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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