2010年06月24日

森麻季インタビューとムゼッタの動画[トリノ王立歌劇場]


この夏、待望の初来日公演を行うトリノ王立歌劇場『ラ・ボエーム』で妖艶なムゼッタ役を歌う森麻季さん。一足先に行われた現地トリノでの公演では、オケと聴衆が手拍子で歌手を迎えるほどの、熱狂的なカーテンコールが巻き起こった。トリノ王立歌劇場〜テアトロ・レージョ・トリノといえば、プッチーニのこのオペラの初演が行われた「聖地」でもある。耳の肥えた聴衆をも虜にしたこの公演について、マエストロや共演の歌手について、森さんご自身に貴重なエピソードをお聞きしました。

―トリノでの公演は、大盛況だったとお聞きしています。
「カーテンコールの時、オーケストラが『ダン、ダン、ダン、ダン』と拍子をとって、お客さまの手拍子がそれと一体化しました。それは、『本当にすごい公演だった』ということらしいのです。オーケストラもただ「ブラボー」じゃなくて、感動を表してくれたのですね。指揮のジャナンドレア・ノセダさんも、ロドルフォ役のマルセロ・アルバレスさんも、喜んでいました。『見た?今日のお客さん、凄かったね!』って」
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―耳の肥えたトリノの聴衆も批評家の方も、我慢できずにホットになってしまったのでしょうね。
「ボエームを見つくしている方が『今回の演奏はすごく色々なことが納得できた』と仰っていたらしいのです。ミミが亡くなるラストシーンも、それまでに白けてしまうことがあるのに、今回は最後まで緊張があって、納得できたのだそうです」

―トリノのオーケストラにはどんな特徴がありましたか?
「彼らは毎日のようにオペラを演奏していて、そのオペラか身体の中にしみこんで、言葉もオーケストラの一人一人の方が理解している……ということが伝わってきました。皆ちょっと肩の力を抜いて、歌を聴きながら演奏している感じです。とにかく歌いやすい!オーケストラが主役という歌劇場もありますから(笑)。トリノの劇場も、歌っているこちら側からすると大きすぎず、すごくお客さんに響いている感覚を感じながら歌えました」

―マエストロ・ノセダとの相性はいかがでした?
「ムゼッタのアリアは、すごくアコーギグがあるというか、揺れるし、くせを持って歌うことが多いのです。でも、最初にマエストロとお稽古をさせていただいたときに、『そういうのを全部取り払って歌ってごらん。楽譜を忠実に再現すれば、もう形になっているんだよ』って仰って。最初は、さっぱりしすぎちゃうんじゃないかと思っていたのですけど、実際オーケストラと合わせると、本当に、意図的に何か加えなくても、自然に出てくるリズムや言葉の調子で表現になってゆくのです」

―オペラの達人のアドバイス、ですね。
「自分が「ああしなくちゃ、こうしなくちゃ」ではなくて、マエストロの手の中で泳がせてもらっている感じでした」

―歌手の方たちとはいかがでした?『ラ・ボエーム』は、男女の二重唱や、男女二組の四重唱など、チームワークが大切なシーンが多いですよね。
「皆さん、余裕があるんですよね。大歌手の方は皆そうなのですけれど、すごく気さくで優しいんですよ。人と合わせるのも、とてもお上手なんです。今回は特に、舞台裏では笑いが絶えませんでした。すごく悲しいオペラなのですが、楽屋は笑いっぱなし。舞台から帰ってきて、皆冗談ばかり言ってました。」

―そういう雰囲気の中で、森さんも生き生きと歌えたんですね。
「そうですね。言葉もイタリア語は少し出来ますし……とにかく周りの皆さんが全員気さくで、劇場の方もすごくプロフェッショナルでしたので、安心して歌うことが出来ました。以前はもっと心配症で、「こういう歌い方でいいのだろうか。こういう声で聞こえているのだろうか?」と、いつも不安が頭をよぎっていました。今は、「今日できる最高のことをやればいいのだ」という落ち着きを持てるようになりました」

―ところで、舞台での写真を拝見すると、ムゼッタは黒いドレスなんですね。
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「以前ムゼッタをやらせていただいたときは、スパンコールのミニスカートと豹柄の毛皮を着て登場したんですが……ヒッピー的な時代設定でしたから。今回は、貴婦人のような上品さと華やかさのあるムゼッタで、演技でもそれが伝わるようにしました。素敵な羽飾りとかショールとか、そういう衣裳をまとうと、自然に振る舞いが出来てくるんですよ」

インタビュー:小田島久恵
Photo: Alberto RamellaTeatro Regio di Torino

posted by Japan Arts at 17:58 | トリノ王立歌劇場2010>インタビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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