2010年07月13日

ショナール役のカローリスにインタビュー[トリノ王立歌劇場]

ミラノスカラ座よりも古い歴史を掲げるトリノ王立歌劇場。その史上、若き日のプッチーニとトスカニーニの出会いによって傑作「ラ・ボエーム」は生まれている。1996年、初演より一世紀を経て行なわれた記念公演では、ミレッラ・フレーニとルチアーノ・パヴァロッティが主役の衣装をつけて舞台へ上がった。そして、去る5月、再びこのトリノの殿堂に帰ってきた演出家グリッフィの舞台には、バルバラ・フリットリ、そしてマルセロ・アルバレスといった今の時代を代表する主役たちが招かれている。マエストロ・ノセダの音楽づくりの木目の細かさに出演者すべてが共鳴していたが、その中から音楽家役のショナール役を演じたナターレ・デ・カローリスに話をきいている。
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Q:この“ラ・ボエーム”の特徴はどのようなところでしょうか?
デ・カローリス: “ラ・ボエーム”という作品は、実際の内容以上に美しく演出されロマンチックに演奏されることが多いのですが、今回の舞台は演出家グリッフィを引き継いだボッレッリの事細かな配慮とマエストロ・ノセダの不要を省いたかなり簡潔なものでした。マエストロ自身がロマンティストであり激情の持ち主であることは有名ですが、表面上の輝きだけに焦点を合わすのではなく話の根底まで突きつめたマエストロの拘りこそ、今回のオペラの真価ではなかったかと感じています。

Q:ショナールについてお聞かせください。
デ・カローリス:
プッチーニ自身がこのショナールという音楽家の役に自分を投影させていたということはあまりにも有名な話です。“ラ・ボエーム”というオペラの実際救いのないストーリーが進行していくなかで、音楽家の出現は一筋の光なのですね。ショナールの出てくるところには動きがあり笑いがある。実際、貧しい芸術家たちの糧を運んでくるのもこのショナールですし、設定そのものがクリスマスということもあり、わたしにはサンタクロースのイメージと重なり合ってしまうのです。プッチーニがその姿に自分を映しながら舞台にいるような錯覚を楽しんだように、わたし自身もとても愛着をもちこの役をやらせていただいています。
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Q:トリノ王立歌劇場、そしてマエストロ・ノセダについてコメントをください。
デ・カローリス: 周りにいる芸術家のみんながいつも言っていることのひとつに、このトリノの劇場の環境のよさというものがあります。すべてに無駄が少なく常に最良を求める、この姿勢こそ我われの求めるものなのです。マエストロ・ノセダは古くからの友人ですが、彼の目指している精神も劇場のそれと一致していますね。我われもそこに連動しながらひとつの舞台を目指していくのです。

Q:日本のオペラファンにひとことお願いします。
デ・カローリス:
日本のオペラを愛する方々は、自分たちの支持する演奏家に対して恋愛感情を抱くほどに情熱を傾けてくれます。それが他の国々のファンとはかなり異なりますね。そのような温かい気持ちは舞台の上で大きな力になりますし、何より音楽家冥利に尽きるのです。日本公演をこころより楽しみにしております。

インタビュー・文:堂満 尚樹 (音楽ジャーナリスト / ミラノ在住)

posted by Japan Arts at 16:07 | トリノ王立歌劇場2010>インタビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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