2011年04月01日

トランペット奏者、ジェイムズ・ロス[メトロポリタン・オペラ(MET)]

メトロポリタン・オペラが素晴らしいところは、世界のトップスター歌手たちはもちろん、オーケストラが雄弁にストーリーを語りかけてくれること。
そこで今回はメトロポリタン歌劇場管弦楽団のトランペット奏者、ジェイムズ・ロスのインタビューをお送りします。
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Q:ロスさんはセントルイスのご出身だそうですね。
もともと普通のオーケストラではなく、
「はい。カナダのラジオではオペラが放送されていて、地元にいた頃からオペラは大好き。METにはオーディションを受けて入団しました。」

Q:オペラのオーケストラならではの楽しさを教えてください。
「僕はいつも“楽器を通して歌うこと”を意識して演奏をしています。その点で、オペラのオーケストラは素晴らしい歌手たちの歌声を常に聴ける環境にあり、自分が演奏する上でもとても参考になります。さらに、ペラでは舞台で起きていることに素早く反応し、フレキシブルに演奏する能力が必要とされます。舞台で何が起こるかわからない!という楽しみがありますので、とてもエキサイティングな仕事ですよ(笑)。」

Q:舞台の上で面白い演出や物語が進行している時、つい振り向いて見てしまいたくなることはありますか。
「それはもう、いつもです(笑)。僕がMETに入った最初のシーズンに、ワーグナーのリングが上演されたのですが、演奏中にチューバ奏者の人が僕の背中を叩いて「舞台を見てみて!」と声を掛けてきました。振り向いて見てみると、そこにはまるで魔法をかけたかのような舞台が広がっていて感動したのを覚えています。オペラは音楽的要素に加えて視覚的な要素がとても重要ですし、いつも振り向いてみたくなってしまいますね。」

Q:メトロポリタン歌劇場管弦楽団の音楽的な特徴を教えてください。
「さまざまなスタイルの演奏ができる柔軟さだと思います。オーケストラ同士でお互いに意見を聞き合うこと、舞台上で起こっていることには常に心を向けることは音楽監督マエストロ・レヴァインの考えでもあります。ですからこのオーケストラには指揮者に頼るだけではなく、お互いに話し合いながら演奏をする習慣が根付いています。
そして、METの演奏を特別なものにしているもうひとつの要因に、弦楽器の音色の温かさがあると思います。また、僕が入団して以来、新しい首席奏者が次々と入団してきています。チェロやクラリネットやフルートなどには素晴らしい奏者が入団してきましたし、新しいコンサートマスターも本当に素晴らしい方々です。オーケストラがどんどん良くなっていっていることを実感しています。」

Q:ジェイムズ・レヴァインについてもお話しいただけますか?
「彼はオペラ・ハウスでの仕事に関して世界中の誰よりも深い理解力、洞察力があるマエストロです。そして何よりも彼はとても優しい方です。自分が求めるものに対して一切妥協はありませんが、とても優しい言葉で皆をそこへ導いてくれます。彼はまずオーケストラの演奏を聴き、その演奏を考慮した上で、作曲家ごとの特徴を踏まえてそれぞれ異なった要求をします。彼とは長年一緒に活動をしていますので、そういった要求にはすぐに応えることができるようになりました。お互いが深く理解しあっていますので、マエストロとオーケストラの関係はとても良い状態にあると思います。ちなみに、団員は彼のことを親しみと尊敬を込めて“ジミー”と呼んでいるんですよ。“マエストロ”ではなくてね!それは、いつもフランクな関係でいたいという彼の希望でもありました。」

Q:そういった関係が40年に渡りMETで指揮し続けてきた理由なのかもしれませんね。
「確かに、こんなに長くひとつのオペラ・ハウスと良好な関係を持ち続けている指揮者はいないですよね。このような関係があるからこそ、私たちは安心して音楽を奏でることができますし、アーティストたちは自分をさらに向上させようと挑戦し続けてもいけるのです。」

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