2011年04月14日

インタビュー5 スザンナ・フィリップス(1)(ソプラノ)[メトロポリタン・オペラ(MET)]

太陽のような笑顔が印象的なスザンナ・フィリップスのインタビュー!
MET_0176.jpg

Q:《ラ・ボエーム》のムゼッタは周囲の人をハッピーにするキャラクターですが、
フィリップスさん自身、キャラクターと重なるように感じます。それについてどう思われますか?

―そうかもしれません。人々が笑ってくれるととても嬉しいですし、私自身人生そのものをとっても楽しんでいます!私は基本的にはハッピーな人間だと思っています。
ですから、自分とムゼッタの重なる部分もあると思いますが、彼女ほどとっちらかっていないというか、私はもう少し集中力があるかしら?(笑)

Q:《ラ・ボエーム》というプッチーニの作品の魅力についてお聞かせください。
―《ラ・ボエーム》はオペラの中心的存在だと思います。
本当に圧倒されるような感情が詰まっていて、シンプルなラブストーリーではあるけれども、数あるオペラそしてMETの中でもアイコン的存在だと思っています。
これは、ある特定の時代を描いています。全てがこのゼッフィレッリのプロダクションで再現されていると思いますし、「宝石」のようなオペラだと思っています。また、この作品の素晴らしさというのは、決して古くならないということです。初めて聴いたときも、そしてまたその後に聴いても音楽の美しさ、スコアの中にある美しさに常に感動し続けます。何回聴いても常に新しい何かを発見できる作品だと思います。私自身も100回以上この作品を聴いていると思いますが、実は2週間前にリハーサルをしていた時に、4幕目になったときに思わず涙が出てしまいました。私は普段、泣く性格ではないのですが、音楽の美しさに圧倒されて涙が出てしまったのです。それほど力のある作品だと思います。

Q:初めてご覧になった作品も《ラ・ボエーム》とおっしゃっていましたが、お幾つの時でしょうか?
―初めて観たのは12歳か13歳の時だったと思います。生まれ育ったのが南部のアラバマ州で、近くにオペラ劇場というものは全くありませんでした。しかし、年に1度両親が兄と私をNYまで連れて行ってくれて、その時にオペラを見る機会に恵まれました。元々音楽は大好きだったのですが、オペラは特に舞台美術や衣装など見どころがいろいろありますので、とにかく興奮したのを覚えています。

Q:それではオペラ歌手になろうと思ったきっかけも、METで観たオペラでしょうか?
―もちろん!とっても大きな影響を受けました。
けれども、本当に声楽家に習おうと思ったのは大学時代なんです。レッスンを受け始めたのは15歳の時ですが、その時はプロになるのかどうか分かりませんでしたし、私の周りにもそういったプロの声楽家の方がいなかったので全く想像がつきませんでした。しかしジュリアードに入学してからは、オペラ歌手になるということが現実的に考えられるようになりました。
子供の頃に観ていたMET、そこで歌うということは本当に"Dream Comes True"!!この場所で歌うということは究極の夢でもありましたし、何よりMETは最高のオペラハウスである、この場所で歌えるということは、本当に夢が叶ったってことですよね!

Q:《ラ・ボエーム》をご覧になった時に「ムゼッタ」のパートをやってみたいという気持ちはありましたか?

―もちろんです!彼女に惹かれない人が果たしているのかしら?彼女は本当に元気いっぱいで、稲妻のようにたった今いたと思ったら突然またいなくなってしまう、そういうような人間だと思います。もちろん私が一番好きな役は「ミミ」ですけど、「ムゼッタ」もみんなの元気の中の中心にいるような人間だと思います。
MET_0170.jpg

Q:いま「ミミ」のお話がちょうど出ましたが、「ミミ」と「ムゼッタ」はとても対照的な女性でまるで陰と陽というような形ですよね。ムゼッタはすごく生命力に溢れているのに対し、ミミはどんどん衰えていくようなそういった対比みたいなことをご自身で考えながら演じられているのでしょうか?
今回日本公演の場合は「ミミ」はネトレプコさんが演じられますが、いかがでしょうか?
―すべての役を演じる上で全く違うアプローチを持っていなくてはいけないのですけれども、ミミとムゼッタにおいては非常に対照的な声でなくてはいけないと思います。どちらの声が重くてどちらが軽いかは重要なことではないと思うのですが、とにかく声が対照的ではないといけないというのが1つ言えることです。
そしてまた、この2人というのは一方でそれほど違わない、違うといえば違うのですが、特に人生に対する姿勢というのはそれほど違わないとも思います。というのも、人を愛するということに全てを懸けているという面ではとても共通点があると思うからです。ムゼッタは初めからマルチェッロを愛していることに疑問を抱きませんし、ミミにおいてもロドルフォを心底愛している、そういう一途な愛という点では2人はここに同じだと思います。
それ以外のことは全く違いますけどね!(笑)

Q:「ミミ」が好きとおっしゃっていましたが、ミミを演じてみたいと思いますか?またその際に自分だったらどんなミミを演じたいなどヴィジョンがありましたらお聞かせください。
―もちろんミミを演じてみたいと思っています。役作りに関しては、自分が始めてその音楽を耳にしたとき、経験したとき、それこそまず楽譜を見たときだけでも自分だったらこんな風に歌いたいとか何かしら生まれるはずです。是非歌いたいと思いますし、それが歌えるようになった時は私にとって本当に大きな前進の時だと思っています。ですから、今からその日がとっても楽しみで仕方がありません!
でも、今は「ムゼッタ」を歌えるということにとっても満足しておりますし、どちらの役柄もとっても素晴らしいと思っています。

Q:今回のプロダクションの一番最後のシーンで、ミミが死んだときにムゼッタはマルチェッロと抱き合いそうになりながらも、一度彼を退けてから抱きつくというシーンがありますが、その部分はなにかフィリップスさんご自身の解釈があっての演出なのですか?
―いいえ、私自身の解釈ではなくて演出の一部なのよ。最初言われた時には「え、そんなことしなければならないの?」と思ったんですけれども、リハーサルをやりながら演じるようになってからは、そのタイミングが本当に素晴らしいと思うようになり、今ではその一瞬止まる瞬間が、私にとっては本当に好きな瞬間になっています。

その2へつづく ―

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。